Masa’s Pastime

2012年04月08日

今月の初めにはなんとか、と言っていた 「カスタムウォッチ」 の完成が、遅れている。




前回お話ししたとおり、ケースや文字盤の製作自体は全てクリアーした。




しかし、ケースの表・裏に装着される 「サファイアクリスタル」 の調達に予想以上の時間が掛かり、、、当面必要な分の納品が、来月に入ってからになったのだ。





この 「サファイアクリスタル」 、現行腕時計ファンにとってはお馴染みのものだが、、、そうでない方のために、ちょっと説明を。



サファイアクリスタルとは、無色透明の 「人造サファイア」 で作った時計用の風防のこと。



呼び名に 「クリスタル」 と付いても 「水晶」 や 「ガラス」 とは全く無関係なもので、、、実際には、天然のコランダム(ルビー・サファイア)と同じ組成の石の塊を人工的に造り、それを切削して風防の形にしたもの、ということになる。



要は風防自体が 「人造サファイアの塊」 という訳だ。




20世紀に入り、ルビーやサファイアが人工的に作れるようになると、それまで天然石が使われていた時計の 「軸受け」 等の石は、人工的に作られるようになった。



時計の仕様書や文字盤上の表記で 「17石」 とか 「21石」 と呼ばれる、その石の話しだが、、、この人造石が時計の 「風防」 に使われるようになったのは、ごく近年になってからだ。



だから 「アンティーク」 や 「ビンテージ」 の時計の風防で 「サファイアクリスタル」 というのはない訳で、、、これらは通常、ごく普通の 「ミネラルガラス」 や 「プラスティック」 の風防が使用されている。

(※ごく一部の婦人物の時計などで、「天然のホワイトサファイア」 の風防が付いているものはあるようだが、私は確認したことがない。)




この 「サファイアクリスタル」 、その最も大きな利点は、「硬い」 という点。



ちなみに 「ルビー・サファイア」 は基本的に同じ組成を持ったコランダムと呼ばれる石で、鳩の血の色のような赤い物をルビーと呼び、それ以外の全ての色のものを 「サファイア」 と呼んでいるのだが、、、これらはダイアモンドの次に高い硬度を持った石だ。



したがって、当然ガラスやプラスティックと較べて、遥かに傷が付きにくいし、割れにくい。



あちこちにぶつけてしまいがちな腕時計の風防としては、まさにうってつけの材料なのだ。



更に透明度の高さもメリットになる。




一方、デメリットは、ずばり 「コスト」



この手の人造サファイアは、価格が億単位とも言われるプラチナ製の釜の中で酸化アルミニウムを溶解し、結晶化した種を少しづつ大きく成長させるようにして作られる。



「洋梨」 を縦長にしたような形で出来上がった 「サファイアの塊」 は、その後、ある一定の決まった方向から規則正しく輪切りにされる。



そして、時計の風防を作り出すには、この切断されたサファイアから必要な形を 「削り出す」 しかないのだが、ダイアモンドの次に硬い石だから、、、当然その研磨には高度な技術が必要だ。



結果、一つのサファイアクリスタルを作るのに要する費用は、ミネラルガラスやプラスティックとは 「桁違い」 なものになる訳だ。




実は、今回のカスタムウォッチの構想段階において、このサファイアクリスタルのコストは、最も頭の痛い問題だった。



「既製品の時計用サファイアクリスタルが使用できない」 という点においては、従来の 「0サイズカスタム腕時計」 に関しても同様なのだが、、、、0サイズに較べて遥かに大きなサファイアが必要な今回のものの場合、概算の見積りを見ただけで、思わず 「ヒエーッ」 と叫びたくなるほどの値段だったのだ。




正直、しばらくは 「安い所」 を探してみた。



サファイアクリスタルは中国を始めとする新興国でも製造されていて、値段的には大分安い。



しかし、よくよく調べるにつれて、、、これは選択肢から消えた。




この数年、国内で製造される人造サファイアの大半は、ご存知 「LED」 の電球に使用されるようになっている。



困ったことに、これが風防用材料の調達に遅れが出ている原因なのだが、、、例えば中国製に関しては、「クリスマスツリーのチカチカの電飾等なら問題ない」 ものの、より信頼性の必要な 「信号機」 などでは、残念ながら、まだ使用出来ないレベルのものだということが分ったのだ。



実際、現行時計を扱っている知り合いの話しでは、現在市販されているスイス製のブランド時計に関しても、簡単には割れない筈のサファイアクリスタルが、いとも簡単に割れてしまうケースがあるらしい。



つまり、同じサファイアクリスタルでも、、、「ピンからキリまで」 あるということ。




これは困る。



安い市販品の腕時計など巷に溢れ返っている中で、わざわざ 「こだわりの時計」 を作ろうというのに、、、「安かろう悪かろう」 では本末転倒なのだ。



勿論、腕時計の風防はサファイアでないといけない訳ではない。



ミネラルガラスでも、パッキン付きの仕様にして 「防水型」 にすることは出来るし、、、アンティークの時計と同じように、傷が付いたら交換すれば問題はないのだ。



結局、サファイアクリスタルを採用するメリットと、相当分のコスト高となるデメリットを天秤に掛けることになったが、、、最終的に値段の面には目をつむり、信用のおける筋の紹介を受けた、国内の業者に任せることにした。




寸法やカーブの形状、面取りの角度等、、、何度かの細かい打ち合わせを経て、昨日受け取った 「試作品」 のサファイアクリスタル。



防水パッキンを取り付けて、同じく試作品のケースにはめてみたところ、、、まさに 「ドンピシャ」 だった。



これなら仕上がりには、文句なし。



後はひたすら、、、来月の納品を待つのみ、なのだ。


posted by Masa’s Pastime at 19:04 | Comment(0) | 新着情報

2012年04月06日

次女の入学式に出席してきた。



帰国後のバタバタもなかなか解消しない中、時間は惜しかったが、、、長女の時だけ出席して次女はなし、というのも少々不憫だし、午前中に済むとのことだから、ちょっと顔を出したのだ。




遅れていた桜も、何とか格好がついていた。



桜の下で、爺さん婆さんと一緒に写真を撮り、自宅目の前の学校へ。



校門に差し掛かると、 「入学式」 の立て札の横に立ち、それぞれ写真を撮ってもらっている子供達がいた。



周りには、目を細めて孫の姿を見守るおじいちゃんおばあちゃん達。



まさしく 「目に入れても痛くない」 というやつだろう。



中にはランドセルが歩いているような小さい子もいるが、、、どの子も活き活きしていて、実に微笑ましい。




体育館で行われた式典の後、次女の教室に案内された。



1年3組。 総勢27人がお行儀良く座り、初めて会った若い先生の話しを聞いている。



自分の記憶と重ね、なんだか嬉しいような、懐かしいような、、、しかし、あの頃とは何か風景が違う。



そう。



27人のうち17人は女子。



つまり、、、一見女の子ばかりに見えるのだ。



ちなみに、これはこの組だけの話しではなく、、、他の4つの組も同様らしい。




これは一体どういうことだろう?



確かに、日本の全人口における女性の割合は、男性よりやや多いと聞いた。



でもそれは、かつて2次大戦によって男がより多く死んでいったことや、一般に女性が男性より長寿であることに起因している筈だったのでは、、?



しかしこの新入生達が生まれたのは、たった6〜7年前。



つまり、「戦争」 とも「寿命」 とも、無関係な話しだろう。



要は単純に 「近年の新生児は女子が多い」 ということになるのか。



少なくとも6〜7年前の、この近辺においては。




そういえば、環境ホルモンの影響で、多摩川のコイにメスが増えているとも聞いたことがあった。



確かオスに関しても、、、生殖器の一部が女性化している個体が確認されているとかなんとか、、?



もしかしたら、、、そんなこととも何か関係があるのだろうか?




薄ら寒くなるような想像からふと我に帰ると、、、机に貼り付けてある自分の名札を手のひらで隠し、名前を呼ぼうとした先生を困らせている次女が目に入った。



初日からイタズラしているようでは先が思いやられるが、、、まあ仕方ない。



私も散々やった方だし、やはり 「蛙の子は蛙」 なのだ。




気が付くと、既に昼になっている。



駅に向かう遊歩道を歩いて、道のど真ん中にある桜の下をくぐった。



見事に腕を広げた桜の大木は、、、次女の入学を祝ってくれているように見えた。

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2012年04月04日

さてさて、凄まじい春の嵐の洗礼を受けながら、昨日(4/3)の夕方パスタイムにたどり着いた。



吹きすさぶ強風と雨の中、濡れネズミになりながらもトランク8個分の荷物を店に降ろし終え、、、取り敢えず一旦帰宅。



予想通り夜中の3時に目覚めてしまったが、、、何とか時差ぼけ気味の頭で店に戻ってきた。




亡くなった友人の仕事場を片付ける、という気の重い使命を果たした今、ホッと一息、と言いたいところだが、、、、実際には、譲り受けた夥しい量の 「遺品」 を前にして、あらためて途方に暮れている。




「リューズ」 「ガラス」 「ムーブメント」 「ダイアル」 「ネジ」 「針」 etc、etc、、、。



「一つたりとも無駄にしない」 覚悟で詰め込んできた部品達。



しかし本当の意味で無駄にしないためには、このままではいけない。



いくらそこにあっても、、、必要な時、大量な類似品の中からその一つだけを探し出すことが出来るよう、整理しなければ意味がないのだ。




早速、全員で手分けして作業開始。



しかし目の前にあるのは、テンプだけがなくなったムーブメント。



バラバラの状態でビニール袋に入った時・分・秒針。



表面のギザギザが剥げてしまったリューズとそうでないリューズの山。



その他、あっちにもこっちにも。



手を付ければ付けるほど、、、途方に暮れ、手が止まる。




取り敢えず今日のところはおおよその整理を付けるに留め、、、今度の休みを使って少しずつ進めることに。



出発前から手を付けている時計も途中になってしまっているし、そろそろ店頭にお客様もいらっしゃる。



ということで、明後日より改めてお逢いしましょう。



まずは帰国のご挨拶まで。



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posted by Masa’s Pastime at 13:11 | Comment(0) | 新着情報

2012年04月01日

本日ご紹介するのはスイスの懐中時計の機会を使用した
当店オリジナル腕時計。


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かつてのスイスの名門 C H Meylan のアメリカ市場向け0サイズ
文字盤にはNew York のジュエラーJ.A.Linherrの銘が入ります。

懐中時計 機械式 腕時計 東京

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C.H.Meylan カスタム腕時計 1900年頃
\550,000 (消費税込・一年保証付)

こちらの商品詳細を御覧になりたい方は下記当店オフィシャルサイトへどうぞ
http://www.antique-pastime.com/item/wristwatch/custom/1/1683.html

posted by Masa’s Pastime at 17:32 | Comment(0) | 新着情報

2012年03月28日

本日ご紹介するのは米国のWALTHAMの機械を搭載した
イギリス向け懐中時計。

筆記体の上品なロゴとインジケーターにより構成されたフォーマルデザイン

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機械は美しい高級機のヴァンガード

懐中時計 腕時計 東京

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Vanguard 懐中時計
1931年 英国向けダイアル シルバーデニソンケース

\295,000 (消費税込・一年保証付)

こちらの商品詳細を御覧になりたい方は下記当店オフィシャルサイトへどうぞ
http://www.antique-pastime.com/item/pocketwatch/usa/1/1686.html
posted by Masa’s Pastime at 09:24 | Comment(0) | 新着情報

2012年03月24日

先日お話しした通り、明日から10日ほど店を留守にする予定になっている。




2年前に亡くなった 「シカゴのボブさん」 の作業場がその後そのままになっていて、、、私は未亡人になったマーガレットさんに、片付けを頼まれているのだ。





「片付け」 と言っても普通の掃除とは違う。




普通なら残された彼女が掃除してしまうことになるのだろうが、、、地下室にある遺品のうち、何が価値のあるもので何がそうでないかを全く知らない彼女には、整理のしようがないのだ。




元々は、去年の今頃行く予定だった。



それが例の震災で直前にキャンセルせざるを得なくなり、、、一年経った今、ようやっと約束を果たすことになった訳だ。





残念ながら 「晴れ晴れとした気持ちの旅行」 ではない。




何しろボブさんが亡くなってから、まだ2年足らず。




「手付かず」 になっている地下室には、彼の道具が昨日まで使っていたように散らばっているようだし、、、私のために用意してくれた作業台もそのまま残っている。




見憶えのあるその一つ一つの道具や材料を、「これはゴミ、これは使える」 などと仕訳けするのは、、、決して楽しいことではないのだ。





マーガレットさんは 「使えるものは是非使って欲しい」 と言う。




私もそう思う。




しかし、、、何代も前から使っていた 「19世紀のケース製作用旋盤」 や 「チャック」 、それから時計のケースを整形するための 「金型類」 などはどれも鉄の塊だから、、、全て合わせると大変な重量になる。




使えるからと言って、おいそれと運んでこれるものでもないし、、、もしそうすればパスタイムはケース修理用の工具や材料で埋もれてしまうだろう。



やはり一部のものは、、、諦めなければならないかもしれない。




生前、ボブさんはマーガレットさんに言っていたという。



「時計ケース修理専門の職人は、アメリカにもう残っていない。 それにこれを売っぱらって金にすることしか考えていない周りの連中を、俺は信用していない。 俺に万一のことがあったら、道具や材料は全部マサに使ってもらいたい」 と。 




やはり、出来るだけのことをしよう。



間違っても、使えるものを 「廃棄」 することのないよう。




最後に仲間と集まった釣り旅行の帰り際。



それぞれの車に乗り込む前に 「I HOPE TO SEE YOU AGAIN」 と言いながら、、、、弱々しく私の手を握ったボブさんの淋しげな顔が甦る。



結局は、それが最後になった。




少々の無理は覚悟の上。



せめて彼の生前の希望を叶えられるよう、、、まだ生きている私は頑張らねば。



そんな思いで明日の昼、懐かしの場所に出掛けてくるつもりだ。


posted by Masa’s Pastime at 19:27 | Comment(0) | 新着情報

2012年03月22日

先週ご紹介した 「新しい腕時計ケース」 の製作に、スタッフの岩田がコンピューター制御の 「NCフライス」 を使っているのはこのブログで触れた通り。




「プログラムの入力」 によって機械を動かすこの方法は、間違いなく近代的でハイテクな技術と言える。




一方、現在エングレイバーの辻本は新たなスタイルのダイアルに挑戦中だが、、、彼が使用している 「ローズエンジン」 は19世紀のアンティークマシン。




こちらの方は思いっきり昔ながらのローテクで、、、この正反対な2つの機械には実に120年以上の年齢差がある。




これほど年代の違う2つの機械が同じ工房で活躍しているのは、、、ピッチャーが赤ん坊で、キャッチャーが爺さんの野球チームのようなもので、ちょっと滑稽だ。





ところで後者の 「ローズエンジン」 は、1880年頃製造されたアメリカ製。




簡単に言うと幾種類もの形状の違ったカムが取り付けられた手動式の旋盤で、、、ジュエリーや時計のケース・文字盤などの金属面に 「ギロシュ」 と呼ばれる様々な模様を彫り込むのに使用されるものだ。




ちなみにこのローズエンジンは、当時ロードアイランド州で製造されていた 「ジュエリーの装飾加工」 に使われていたものとのこと。




それが現役を退いてほぼ一世紀後の一昨年の夏、、、物好きな日本人の注文により大々的な修復を受けることに。




その後陸路でカリフォルニアまで5000キロの旅をし、、、そこからはるばる太平洋を渡って、パスタイムにやってきたのだ。





100年以上もの年月を経た爺さんが 「現役」 でいられる理由は、アンティークウォッチのそれと同じ。




元々そういう前提で作られているものだから。




「ダメになったらそっくり買い換える」 ではなく、、、「ダメになったらその部分だけ」 手直ししたり交換出来るように作られているのだ。




実際に細部の使い勝手はパスタイムで手直ししたし、、、「新たな文字盤」 の製作用に、カムも新調して付け加えた。




大きなハンドルを左手で回しながら、、刃物を右手で押す。




「ゴトゴトゴト」




カムの凸凹をベアリングがなぞり、、、ヘッドが模様なりに横揺れしながら回転する。



描かれるパターンは、カムの形状や刃物の送り幅の選択といった、言わば頭の仕事。




一方で彫りの出来映えは、仕上げた刃物の切れと右手親指の力加減一つに掛かっている。




機械を使っているのに 「誰がやっても同じ」 にならない、、、どころか、全く別のものになる。




職人としては、そこがまた励みになるところ。




店の奥で 「チーチクチク、ギュイーン」 と泣く赤ん坊。



店に入ってすぐのところでは 「ゴトゴトゴト」 とつぶやく爺さん。



新しいカスタムウォッチの構想には、どちらも欠かせない仲間。



けれど 「古いもの好きのオジサン」 は、、、いつもついつい老人を贔屓してしまうのだ。

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posted by Masa’s Pastime at 14:28 | Comment(0) | 新着情報

2012年03月18日

シカゴへの出張を1週間に控えて、連日バタバタが続いている。



帰りが遅くなる日はハモニカ横丁あたりで晩飯がてら一杯やって帰ることが多い私だが、、、財布が空っぽの時や、あまりに疲れている時など、夜食を買ってうちに帰ることもある。




私の住む西国分寺の駅前では 「マイン」 というスーパーが夜11時まで営業しているから、そんな日はここで深夜のショッピング?を楽しむことになるのだ。





しかし閉店間際の食品売り場には、あまり多くの食材がない。




もっぱら私のフィールドである 「鮮魚コーナー」 でも、通常の時間帯には溢れかえらんばかりの 「寿司弁当」が並んでいるのだが、、、、深夜にはご飯ものが殆ど残っていない。




そんな時は 「ベビーホタテ」 だの 「タコの足」 だのを買って帰るしかないが、それはそれでよし。




無いものを言っても仕方がないから、諦めがつくのだ。




しかし問題は残っている時。




たまに1、2点の寿司弁当が残っている時、、、寿司コーナーでは、私と同様のオジサン客との間で密かなサバイバルゲームが展開する。




「そんなもの見つけたら即買ってしまえばいいじゃないか」 と思うだろうけど、状況はそう単純ではない。



何しろ深夜に売れ残っている寿司なのだ。



多くの場合、ネタは干からびている。



イワシなど入っていようもんなら、、、食って大丈夫か?というレベルだ。



その分値段は半額になっているの訳だが、、、半額でも不味いものは食いたくないのが人情。




昨夜は私を含め 「3人の空腹なオジサン」 が、2つのパック寿司の前で、穴の開くほどネタを品定めしていた。



誰もが同じ事を考えているのだろう。



「先手を打って」 無くならないうちに買ってしまうか、、、それとも鮮度の落ちた寿司はやめて、他のツマミ系で折り合いをつけるか。




7.3に髪を撫で付けた勤め人風のオジサンが、遂に手を出した。



確かにあっちの方が、若干生きが良さそうに見える。



しかし彼はそれを片手に持ったまま、、、更にもう一点のも見ている。



ここで作業服を着たもう一人のオジサンがすかさずもう一つのを手に取って、さっさとレジに向かった。



もしかして 「2つとも買われたら堪らん」 と思ったのかもしれない。



それを見た私は、「最初から寿司にはあまり興味が無かった」 かのように振舞いつつ、、、ツマミのコーナーに移動し、タコやイカを物色。




しかし何気に振り向くと、7.3のオジサンはまだ寿司コーナーにいた。



かすかに首を捻ったりして、、、、何か納得がいかないといった様子。



そして結局その寿司を台の上に戻して、、、フラフラと離れていった。



「先に買われてしまったもう一つの方を買うべきだった」 と思ったのか? それとも 「焼き鳥弁当のようなものにしよう」 と決心したのか? 




台の上に一つポツンと残された、パック寿司。



競争相手はいなくなった。



しかし、人間の心理とは実に不思議なものだ。



さっきまで 「売れなければいいな」 と願っていたその寿司が、、、一度諦めたら全く魅力のないものに思えてしまったのだ。




 「そんな事ってよくあるよなー」 と思う。



食べ物じゃなくても、色々な場面で。



「スモークサーモン」 と 「北海タコ」 を手に持った私は、、、そんなことを考えながら、レジに向かったのだ。


シカゴへの出張を1週間に控えて、連日バタバタが続いている。



帰りが遅くなる日はハモニカ横丁あたりで晩飯がてら一杯やって帰ることが多い私だが、、、財布が空っぽの時や、あまりに疲れている時など、夜食を買ってうちに帰ることもある。




私の住む西国分寺の駅前では 「マイン」 というスーパーが夜11時まで営業しているから、そんな日はここで深夜のショッピング?を楽しむことになるのだ。





しかし閉店間際の食品売り場には、あまり多くの食材がない。




もっぱら私のフィールドである 「鮮魚コーナー」 でも、通常の時間帯には溢れかえらんばかりの 「寿司弁当」が並んでいるのだが、、、、深夜にはご飯ものが殆ど残っていない。




そんな時は 「ベビーホタテ」 だの 「タコの足」 だのを買って帰るしかないが、それはそれでよし。




無いものを言っても仕方がないから、諦めがつくのだ。




しかし問題は残っている時。




たまに1、2点の寿司弁当が残っている時、、、寿司コーナーでは、私と同様のオジサン客との間で密かなサバイバルゲームが展開する。




「そんなもの見つけたら即買ってしまえばいいじゃないか」 と思うだろうけど、状況はそう単純ではない。



何しろ深夜に売れ残っている寿司なのだ。



多くの場合、ネタは干からびている。



イワシなど入っていようもんなら、、、食って大丈夫か?というレベルだ。



その分値段は半額になっているの訳だが、、、半額でも不味いものは食いたくないのが人情。




昨夜は私を含め 「3人の空腹なオジサン」 が、2つのパック寿司の前で、穴の開くほどネタを品定めしていた。



誰もが同じ事を考えているのだろう。



「先手を打って」 無くならないうちに買ってしまうか、、、それとも鮮度の落ちた寿司はやめて、他のツマミ系で折り合いをつけるか。




7.3に髪を撫で付けた勤め人風のオジサンが、遂に手を出した。



確かにあっちの方が、若干生きが良さそうに見える。



しかし彼はそれを片手に持ったまま、、、更にもう一点のも見ている。



ここで作業服を着たもう一人のオジサンがすかさずもう一つのを手に取って、さっさとレジに向かった。



もしかして 「2つとも買われたら堪らん」 と思ったのかもしれない。



それを見た私は、「最初から寿司にはあまり興味が無かった」 かのように振舞いつつ、、、ツマミのコーナーに移動し、タコやイカを物色。




しかし何気に振り向くと、7.3のオジサンはまだ寿司コーナーにいた。



かすかに首を捻ったりして、、、、何か納得がいかないといった様子。



そして結局その寿司を台の上に戻して、、、フラフラと離れていった。



「先に買われてしまったもう一つの方を買うべきだった」 と思ったのか? それとも 「焼き鳥弁当のようなものにしよう」 と決心したのか? 




台の上に一つポツンと残された、パック寿司。



競争相手はいなくなった。



しかし、人間の心理とは実に不思議なものだ。



さっきまで 「売れなければいいな」 と願っていたその寿司が、、、一度諦めたら全く魅力のないものに思えてしまったのだ。




 「そんな事ってよくあるよなー」 と思う。



食べ物じゃなくても、色々な場面で。



「スモークサーモン」 と 「北海タコ」 を手に持った私は、、、そんなことを考えながら、レジに向かったのだ。


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2012年03月16日

去年の暮れに導入したロボット(NCフライス盤)が、いよいよ本格的に働きだした。



もっと正確に言うと、、、プログラムの作成・入力を担当している岩田がロボットの扱いに慣れてきた、という事になる。




簡単な治具の製作から始めた最初の頃は、何だかんだと分からない事だらけだったのだが、、、ようやっと手馴れてきて、サイズや形状の違う腕時計ケースの試作が数点完成。



それぞれサイズの違う防水リューズも製作し、あとはサファイアクリスタルと防水パッキンの手配のみ、という段階まできた。



今までの 「パスタイムカスタム腕時計」 は直径約30ミリのムーブメント(0サイズ)を使用したものだけだったのだが、今後、新たに 「直径37ミリの12サイズムーブメントを使った腕時計」 をラインナップに加えることが出来そうだ。




試作した腕時計ケースは直径45ミリ(バンド巾22mm)。



さっそく腕に付けてみる。



ハッキリ言ってデカイ!



ラグの部分を除いたケースの直径が45ミリもあるのだから、当たり前と言えば当たり前。



もっとも最近のスイス製腕時計は年々大型化しているから、、、、「有り得ない」 というほどではないか、、?




何人かの常連客に見てもらったところ、、、予想外にもほぼ全員が 「全然オーケー」



特に 「現行の機械式時計」 から 「アンティークウォッチ」 に転向した方達には、全く違和感がないようだ。



もちろん 「普通のサイズの方がいい」 と言う方もいらっしゃったが、、、その場合は従来の0サイズをお選びいただけばいいのだ。 




サイズアップすることには、メリットもある。



まず大きいだけにムーブメントが良く見える。



0サイズのムーブメントではルーペを付けないとハッキリしないパーツの細部の仕上がりなども、、、12サイズなら肉眼で鑑賞できるし。



また少々マニアックだが、0サイズには無かった 「23石」 等のムーブメントを使うことも出来るから、サイズの違いだけではなく 「より贅沢な仕様の腕時計」 が可能になるのだ。




また 「完全な自社生産」 が可能になったことのメリットも大きい。



一点一点削り出して作るということは、その材質が毎回違うものになっても効率的な問題がない訳で、、、つまり従来通りの 「シルバー925」 だけでなく、真鍮でも、K18でも製作可能なのだ。

(※ステンレスに関しては現在試作試験中)




100%パスタイム内の工房で、削り出して製作する 「45ミリ・カスタム腕時計」



現在 「サファイアクリスタル」 製作費用の見積もり待ちをしている段階。



それが済めば、ようやっと、、、本当にようやっと来月早々には発売開始できる見込みになったのだ。


懐中時計 東京

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2012年03月15日

遂にやって来た。




今年はなかなか現れないから、「もしかしたらもう来ないないのか」 と期待していたのに、、、憎っくき 「杉花粉」 は、やっぱりちゃんときてしまったのだ。





まずはくしゃみが止まらない。




電車の中でも店でも、所構わず。




お客様とお話ししている時も難儀するが、、、、何より困るのは、時計を組み立てている時。




繊細な部品をピンセットで保持した状態で 「ムズムズ」 っとくると、その度に部品を置くことになるし、、、、くしゃみのが落ち着いたあとも綺麗に洗浄した機械に鼻水を垂らす訳にはいかないから、一々タイミングを図らなければならない。





目も痒い。




「同士の方」 はご存知の通り、、、この場合、どんなに痒い時も決して擦ってはならない。




何故ならもしちょっとでも擦れば、、、、その驚異的な快感に全身が痺れ、グリグリと目玉が潰れるほど激しく擦りたくなる衝動を抑えられなくなるから。




しかし、、、都合の悪いことに、時計の作業に使う 「キズミ」 は、目の一番痒い部分(鼻寄りのところ)に接触せざるを得ない構造になっている。




いきおい、時計を前に 「ヒィーヒィー」 悶絶することになるのだ。





くしゃみをしては鼻をかみ、目を擦りそうになっては悶絶し、、、、当然仕事のペースはガタ落ち。




これが例年ゴールデンウイーク頃まで続く。




あーいやだ、もーいやだ、と言っても始まらないが、、、ホント、もうなんとかして、という感じなのだ。





もっとも今年に関しては、ちょっと救いがある。




今月末から来月の初めまで10日間ほど国外に避難、、、ではなく、2年前に亡くなった仕事仲間のボブさんの作業場を整理するため、シカゴに行く予定になっているから。




もっとも厳しい時期に日本に居ないことになるし、帰国してからゴールデンウイークまでは約3週間を残すのみ。




その間は、、、ひたすら 「じっと我慢の子(古いか?)」 で、嵐の過ぎるのを待つ覚悟なのだ。


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