Masa’s Pastime

2013年09月04日

「ある日の教育問題」




「はだしのゲン」 の一件が決着して間もない、夏の終わり。




我が家でも、ちょっと考えさせられる一件があった。





溜めに溜めた夏休みの宿題を片付けるべく、長女(中学1年)と次女(小学生2年)は、珍しく早朝から勉強部屋に引き籠り。



新学期は2日後に迫っているから、、、さすがに尻に火が付いたか。



モゾモゾと起き出して遅い朝飯を食べている私のところに、うんざり顔の長女がやって来た。





「これ見て、どう?」




顔の前に差し出された二枚折の紙切れを見ると、、「水色のバックに淡い色の幾何学模様」 が散りばめられ、真ん中にはレタリングのような字で 「何とかセブン」 その下に 「宮部みゆき」 と書かれている。




どうやら読書感想文の表紙?のようだが、、。




「まあまあ綺麗に出来てんじゃん。 けど、肝心の中身はどこだ?」




「ないよ。 まだこれだけ」




「えっ?」




珍しく切羽詰まっているのかと思ったら、「表紙作り」 に夢中になっていたのか、。




肝心の中身は後回しで。




「時間がないならそれは後回しにして本題を片付けちゃえよ。 お絵描きは余った時間でやればいいんだから。」




「そうはいかないんだよ、、、表紙の出来は採点の対象なんだから。 題字もレタリングで、って指定になってるんだよ。」




「えっ? それ国語の課題じゃないのか?」





表紙の出来が大事だと聞いて、一瞬混乱した。




私が国語の課題と思い込んでいたのは、、、美術の課題だったのか?




「違うよ、国語だよ。 読書感想文なんだから、国語に決まってるじゃん」




話しにならん、といった感じで紙切れをつまみ上げ、、、長女は再び部屋に消えた。




「んー、、、」





釈然としない気分のまま新聞を広げていたら、、、今度は次女がやって来た。




「あー、夏休みの日記やっと終わったー! ほら。」




こちらは小学生低学年の日記だから、他愛ない。





「きょうは姉にあそんでもらって、とてもたのしかったです。」




「へー。 姉って漢字で書けるようになったのか」




「うん、もう習ったから。 妹も兄も弟も習ったよ。」




「そうか。 じゃあせっかくだから、たのしかった、も漢字にしちゃえば? 楽しい、はねー、こうしてこうして」





新聞広告の裏に 「楽しい」 と書き始めた私に、すかさず次女が言った。




「うち、楽しいって字書けるんだよ。 でもまだ習ってないから書いちゃいけないんだ」




「えっ?」




「この間の作文にお姉ちゃんと、って書いたら、バツになって、ひらがなに直されちゃったんだ。 あっ、その時はまだ姉っていう字習ってなかったからなんだけどね。」





台所で聞いていたカミさんが補足した。




「勝手に覚えて間違うと困るから、っていう方針らしいよ、、」




「えーっ?!」




ちょっと困り顔の次女が続けた。



「習った字かどうか分からなくなった時は教科書見直さなきゃいけないから、、、面倒くさいんだよねー」




「表紙の見栄え」 が重視される、読書感想文。



習っていない漢字は 「使ってはいけない」 作文。




いつものように、魚達やカブトムシにエサをやり、家を出た私。



吊革に掴まりながら、、何度も考えた。



表紙の出来は綺麗で悪いことなど無い。 いや、綺麗な方が良いに決まっている。



自分勝手に覚えたつもりが間違っていたら困るから、、、漢字で書くのはちゃんと習ってからでないといけないのだ。




一応、自分を説得してみた。



またうちで 「文句ジジイ」 と呼ばれても困るし、、。




顕微鏡を覗き込んでいても、、、頭に浮かんだ。



「綺麗な方がいいよなー、作文の表紙は、。 でも国語の力じゃないよなー、絵の上手さは、、。間違った漢字を覚えたら確かにまずいよなー、、、でも間違っていたら直してあげればいいんじゃないかな、、。 」



結局そんな風にして、、、「スッキリしない日曜日」 は、モンモンと一日続いてしまったのだ。


posted by Masa’s Pastime at 13:47 | Comment(0) | 新着情報
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