Masa’s Pastime

2013年08月09日

「セミ」

先週のある晩のこと。



多摩市にあるカミさんの実家で義妹や義弟と食事をしていた私は、晩飯後の一服をしに外に出て、裏手の遊歩道に出た。




暗くなった遊歩道では 「ジージー、ミーンミーン」 と大量のセミが鳴いている。





あれ?、と思った。




普通、セミが鳴くのは日中がメイン。




いや、夜でも鳴いていなくはないが昼間ほどではなく、、、夜はもっぱら 「キリギリス」 や 「クツワムシ」 などの方が主役の筈。





それがこの晩は、夜の9時過ぎなのに 「日中の森の中」 のようなセミの大合唱なのだ。




それだけではなく、外灯の周りには無数のセミが飛び交っているし、、、歩道にお行儀よく並んだ木々にも、セミがビッシリたかっている。





「よし、次女に見せてやろう」




大人達に遊んでもらっていた 「虫オタク」 の次女を連れに行き、再び現場に戻った。




普段なら虫網でないと捕まらないセミが簡単に手掴み出来るから、次女は大興奮。




それを見ながら 「俺もあんなだったかなー、、」 と思っていたら、次女が叫んだ。



「父ちゃん、、、白いセミがいる!!」





たしかに次女の指差す木を見ると、「真っ白いセミ」 がいた。




見回せば、そこの木にもあそこの木にも。




一瞬大きな 「ガ」 のように見えた真っ白いセミは、幼生のカラから抜け出したばかりの、セミの新米。



良く見れば、、、中にはこれから脱皮しようとして地面を這っている幼生もいるではないか。




確か、子供の頃にも見た憶えがある。



しかしそれは微かな記憶だったし、、、こんなにいたるところで羽化しているのを見たのは、生まれて初めてのことだ。



「早くみんなを呼びに行こう!!」



次女の手を曳いて皆のところに戻った私は、、、長女の他大人達全員を連れて、再び遊歩道に戻った。




「ウワーッ、凄い!」



外灯の下に到着した 「後続組」 も、皆驚いている。



ドイツ人の義弟は夏に来日するのが今回初めてだから、幼生どころか 「セミ」 自体が初めてだし、、、子供達も、地面を這っている幼生を枯葉で掬い上げては木に留まらせたり手のひらに乗せたりして、珍しそうに観察していた。




ご存知の通り、セミは生まれてから何年も土の中で生活している。



そういう意味では、昆虫の中では飛びぬけて寿命の長い部類だろう。



しかし一旦地上に出て羽化すると、、、数日で死んでしまうようだ。




セミが地中で居るところを見たことが無いし、、、何年もの間、そこで何をしているのかも知らない。



いずれにしても、ずっと 「下積みの生活」 を送った後、晴れてお天道様を浴びたと思ったら、、、潔くパッと散ってしまう。



「桜の花」 や 「線香花火」 ともどことなく似ていて、、、日本らしい虫のような気がしてならない。




「下積みの長さ」 はセミに負けていないが、、。



私にも、いつかパッと咲く 「一瞬」 があるのだろうか?



木の根元にある無数の穴ボコを見ながら、、、何となくそう思った夏の晩だった。

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posted by Masa’s Pastime at 17:53 | Comment(0) | 新着情報
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