Masa’s Pastime

2013年02月15日

「春の憂鬱」 その2

一般のメンバーにはまだ開場していないガランとした会場の一角に、、、そこだけ幾人かのディーラーがやり取りしているコーナーがあった。



「ん、なんだ?」



急いで駆け寄り、大男達の間に身をこじ入れてみると、、、フロアーに無造作に置かれた、いくつものダンボールが。



そしてその中には、大量の 「懐中時計」 が詰め込まれているではないか!!




「これはいくらだ? そうか、いただき! それじゃ、こっちは? 本当か? それなら箱ごと全部もらった!!」



先着の連中は貪るように 「アメリカ製の鉄道時計」 を買い漁っていた。




私を含めた 「業者」 連中は、普通なら 「値段の交渉」 を含め、それなりに時間を掛けることが多い。



しかしこの時は、皆そんな余裕はなかった。



何故なら、まだ若い大人しそうな売り手の提示する値段が、、、どういう訳だか、全く 「的外れ」 だったのだ。




何しろ普通なら 「$1000」 するような鉄道時計を 「$125でいいよ」 などとやっている。



これなら欲しいヤツは周りにいくらでもいるから、、、悠長に考えていたら、横から手が出てきて先に買われてしまう。



いきおい売り手ではなく買い手の方が 「我先に!」 とパニック状態に陥っている訳だ。 




私にとっての幸運は、周りにいたのがたまたま皆 「アメリカ時計の業者」 だったこと。



彼らが争うように買っていたのは、当地で人気の 「鉄道時計」 ばかりだったから。




ダンボールは、それなりに分別されていた。



大半がアメリカ時計の箱。



そこには彼らが血相を変えて群がっている。



しかし、スイスやイギリスの時計も、数箱分はあった。




殆どの連中が見向きもしないその箱の中身は、、、私がほぼ 「独占」 状態。



しかしいつライバルが現れるかも分らないから、手早く品定めした。



すると出てくる出てくる、、、、「Longines」 や 「Omega」 といった定番商品をはじめ、、、「Tiffany & Co」 や 「Patek Philippe」 それから 「C.Frodsham」 あたりのハイグレード品も混ざっているではないか!




開始早々いい時計を買えるだけ買って 「お腹一杯」 になった私と、ほぼ全ての時計を売り尽くしたその 「売り手」 はお互いに暇になり、、、どちらともなく世話話し。



じきに会場のアナウンスが流れ、一般のメンバー達が一斉に会場に流れ込んできた。





(続く)


posted by Masa’s Pastime at 17:09 | Comment(0) | 新着情報
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