「生みの苦しみ」 から解放された私は、手洗いもそこそこにトイレから飛び出してJALのチェックインカウンターに駆けつけた。
しかし、カミさん達は、どこにも見えない、、。
カウンターには、チェックインを待つ人々が列をなしていたが、、、特に急いでいる様子はないから、どうやら、皆 「別の便」 の搭乗客のようだ。
頭上の掲示板で確認したところ 「6時20分の那覇行き」 は、、、定刻通りの出発予定。
むしろ、少々遅れてくれていたら助かったのだが、、。
それにしても、、残り時間が無い。
私達以外の乗客は既に座席に腰掛けて、、、、飛行機の離陸を待っている筈なのだ。
なんとか事情を話そうと、カウンター前に立ったその時、、。
「父ちゃん!!」
声の方を振り向くと、、、難民のように荷物を満載したカートを押している、カミさんと子供達が見えた。
ほぼ同時に 「JAL〓〓便にて那覇に向かうお客様、いらっしゃいましたら、至急お申し出下さい!」
地上職員の、緊迫した叫び声。
「お願いします!!」
すがりつくように駆け寄った私達に、テキパキと優先的な搭乗手続きが行われた。
手続き後、職員付き添いのもと、大急ぎでセキュリティーチェックへ。
ところが、ここでも私は失態を演じてしまった。
腰に着けていたウエストポーチに、「アンティークのサバイバルキット」 が入っていて、、、セキュリティーで止められてしまったのだ!
ポケットサイズのキットには、「ナイフ」 やら 「ヤスリ」 やら 「危険物」 と見なされるものが色々付いている。
当然、機内には持ち込めないから 「預け荷物扱い」 にするしかないが、、、手続きをしている時間は、、、ない。
その場で 「いらない」 と言って放棄すればそれで済むことだが、、、そうはいかなかった。
何故なら、、、これは2年前に亡くなった 「シカゴのボブさん」 から、生前に譲り受けたものなのだ。
「なんで同じ失敗を繰り返すのよー!」
私に食って掛かる長女。
無理はない。
このウエストポーチは去年の沖縄旅行の際にもしていたものだが、、、私はその時も全く同じことをしでかして、搭乗前にバタバタしたのだ。
「じゃ、どうされますか?」
私にそう訊いたセキュリティーの男性職員は、少し苛立っていた。
「んー、、、。」
時間は無いが、妙案が浮かばず、、、しばし沈黙。
「分りました。 なんとかやってみましょう!」
付き添ってくれていたJALの女性職員はそう沈黙を破り、、、私と一緒にチェックインカウンターに走って戻るとそこの同僚に掛け合い、猛烈な勢いで手続きを済ませてくれた。
こうして 「怒涛の起床」 から約1時間20分後の6時20分過ぎ、、、周囲に散々迷惑を掛けながら、ボサボサ頭の私達一家は、機上の人となったのだ。
(続く)
しかし、カミさん達は、どこにも見えない、、。
カウンターには、チェックインを待つ人々が列をなしていたが、、、特に急いでいる様子はないから、どうやら、皆 「別の便」 の搭乗客のようだ。
頭上の掲示板で確認したところ 「6時20分の那覇行き」 は、、、定刻通りの出発予定。
むしろ、少々遅れてくれていたら助かったのだが、、。
それにしても、、残り時間が無い。
私達以外の乗客は既に座席に腰掛けて、、、、飛行機の離陸を待っている筈なのだ。
なんとか事情を話そうと、カウンター前に立ったその時、、。
「父ちゃん!!」
声の方を振り向くと、、、難民のように荷物を満載したカートを押している、カミさんと子供達が見えた。
ほぼ同時に 「JAL〓〓便にて那覇に向かうお客様、いらっしゃいましたら、至急お申し出下さい!」
地上職員の、緊迫した叫び声。
「お願いします!!」
すがりつくように駆け寄った私達に、テキパキと優先的な搭乗手続きが行われた。
手続き後、職員付き添いのもと、大急ぎでセキュリティーチェックへ。
ところが、ここでも私は失態を演じてしまった。
腰に着けていたウエストポーチに、「アンティークのサバイバルキット」 が入っていて、、、セキュリティーで止められてしまったのだ!
ポケットサイズのキットには、「ナイフ」 やら 「ヤスリ」 やら 「危険物」 と見なされるものが色々付いている。
当然、機内には持ち込めないから 「預け荷物扱い」 にするしかないが、、、手続きをしている時間は、、、ない。
その場で 「いらない」 と言って放棄すればそれで済むことだが、、、そうはいかなかった。
何故なら、、、これは2年前に亡くなった 「シカゴのボブさん」 から、生前に譲り受けたものなのだ。
「なんで同じ失敗を繰り返すのよー!」
私に食って掛かる長女。
無理はない。
このウエストポーチは去年の沖縄旅行の際にもしていたものだが、、、私はその時も全く同じことをしでかして、搭乗前にバタバタしたのだ。
「じゃ、どうされますか?」
私にそう訊いたセキュリティーの男性職員は、少し苛立っていた。
「んー、、、。」
時間は無いが、妙案が浮かばず、、、しばし沈黙。
「分りました。 なんとかやってみましょう!」
付き添ってくれていたJALの女性職員はそう沈黙を破り、、、私と一緒にチェックインカウンターに走って戻るとそこの同僚に掛け合い、猛烈な勢いで手続きを済ませてくれた。
こうして 「怒涛の起床」 から約1時間20分後の6時20分過ぎ、、、周囲に散々迷惑を掛けながら、ボサボサ頭の私達一家は、機上の人となったのだ。
(続く)