Masa’s Pastime

2012年04月22日

「もし」

一昨日の晩、バーの止まり木で映画鑑賞した。




ハモニカ横丁の入り口にある 「バナナ・バー」 ではいつもなんだかしらの洋画のDVDが回っているから、普段映画を見ることがない私にとっては、唯一ゆっくり映画鑑賞する場所なのだ。





最初に観たのは 「500DAYS OF SUMMER」 という題名の、アメリカ映画。




別に新作の映画ではないから既に観た方も多いだろうが、私にとっては初めて見る俳優ばかり。




ストーリー自体は取り立てどうということもなかったが、、そのエンディングに 「ちょっとひっ掛かるセリフ」 があった。





かつて自分に思いを寄せていた男に再会した女、曰わく 「私はパンケーキを食べながら小説を読んでいた。 するとそこに、話しの内容を聞いてきた人がいた。 それが今の夫なの」 というパート。




そして 「もしあの日パンケーキを食べに行かなかったら? もし食べに行くのが10分遅かったら?」 




「つまり、、、私達は出会うべくして出会ったの」 と続く。




極めて当たり前で、ありがちな話しに聞こえた。




しかし、「シザーハンド」 という次の映画が始まってからも、、、何故か、その 「もし」 は、頭から離れなかったのだ。





確かに、そういうことはたくさんあった。




いや、 「もし」 は、今も毎日のように繰り返していることなのだろう。





昔の事を思い返してみた。




もし少年期のある日にダイビングショップのオーナーと知り合わなかったら、、、、私はアメリカに行かなかっただろう。




もし、そこで知り合ったアンティークのブローカーに荷物持ちの手伝いを頼まれなかったら?、、、「忙しいから」 と断っていたら?




おそらく、私はアンティーク時計屋になっていないだろう。



両手がハサミになっている主人公が登場した画面を観ながらも、、、頭は 「もし」 から離れない。





そもそもあの日、私が二駅ほど離れたところにあったダイビングショップに行ったのは、偶然だった。




あの晩、、翌朝友達と海に行くことになっていた私が古くなった水中メガネを頭に着けてみたところ、、、ゴムのストラップが 「パチン」 と切れたのだ。




水中メガネを売っている 「森田スポーツ用品店」 は、近所にあった。



でも既に夜はかなり更けていて、、、店はとうに閉まっている。




困った私が騒いでいると、、、いつか 「潜水の店」 のようなのがあるのを見た、というオフクロが、車で連れて行ってくれた。




それが、後に私が仕事することになったダイビングショップだったのだ。





ハサミ男は、警官に追われて逃げ回っている。



ホットサンドを食べ終わって、バーボンのお替りを頼んだ。



酔いが回ってきても、、、「引っ掛かり」 は消えない。




ということは、私が今アンティーク時計屋になっているのは、、、35年前のあの晩、水中メガネのストラップが切れたから、ということになるのか?




もし、あの夜ストラップが切れていなかったら?




切れたのがもう少し遅い時間だったら?




ストラップは、、、 「切れるべくして」 切れたのだろうか?




大分酔っ払ってきた、、。



「もし」 が、頭の中をグルグル回っている。



気がつくとハサミ男の映画は終わり、、、バナナバーは、週末らしい賑わいを見せていた。

懐中時計 東京
posted by Masa’s Pastime at 12:13 | Comment(0) | 新着情報
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