先週のある日のこと。
その日の帰り道、私はちょっとイライラしていた。
昼間、嫌になるような出来事があって、夜になってもなかなか気分が切り替わらないでいたのだ。
店の連中と別れて駅前に着いたがどうにも気分が重く、、、そのまま改札に向かう気にならない。
かといってそんな時には 「パーッと一杯やって」 という気にもならない、、。
結局改札に向かう階段の前をやり過ごした私は、、、駅前交番脇にある 「喫煙コーナー」 に向かい、一服することにした。
ところがタバコをくわえると、、、「アレッ」
ポケットに入っていた筈のライターが無い、、。
どうやら店に置いてきたようだ。
幸い、近くに火を着けたばかりのタバコをくわえた 「勤め人風」 の若者がいた。
年の頃、22、3歳といったところか?
私の息子でもおかしくない年齢。
「申し訳ないけど、火を貸していただけますか?」
火をつけ終わって一服し始めたところ、腰を折られるのは煩わしい。
だから私は充分に丁寧な調子で、そう言ったつもりだった。
「、、、」
彼はチラッと私を一瞥すると、いかにも億劫そうな動作でポケットからライターを取り出し、、、他所を向いたまま、黙って私に差し出した。
「どうもありがとう」
内心 「何だよー」 とムッとしたが、、、仕方ない。
面倒を頼んだのは、こっちの方なのだ。
再び礼を言ってライターを返した私は、若者から離れた場所でタバコを吸い始めたが、、、どうにも気が紛れない。
「元々のイライラ」 にライターを借りた際の 「ムッ」 が加わって、余計に気分が沈んできたようだった。
頭の中で 「あんな態度はないよな」 とか 「近頃の若者は」 などと毒づきながら、大袈裟にも 「この国の将来は暗いな」 などと暗澹たる気持ちになった頃、、、タバコが燃え尽きた。
チェーンスモーカーよろしく、すぐに2本目のタバコを咥えたが、、、ライターは無い。
念の為にカバンの中をゴソゴソしていた時、、、誰かがチョコン、と肩のあたりを突っついた。
振り向くと、さっきの若者が立っていた。
ライターを持った手を、私の方に差し出している。
「良かったらこれ、使ってください。 俺、2本あるから」
「えっ?! あ、、、こりゃあどうも。 ありがとう!」
爽やかな笑顔を残して、、、彼は去って行った。
頭を引っ叩かれたような気がした。
さっき、そっぽを向いて見えたのは? 億劫そうに振舞って見えたのは?
みんな、、、私の 「気のせい」 だったのだ。
「最近の若者は」 どころか、、、素晴らしい青年ではないか!
「細かいことを、いちいち気にし過ぎなんだ!」
下りの電車に揺られながら、私は自分の 「弱点」 を実感していた。
だが何故か、、、気分は、すっかり晴れていた。
その日の帰り道、私はちょっとイライラしていた。
昼間、嫌になるような出来事があって、夜になってもなかなか気分が切り替わらないでいたのだ。
店の連中と別れて駅前に着いたがどうにも気分が重く、、、そのまま改札に向かう気にならない。
かといってそんな時には 「パーッと一杯やって」 という気にもならない、、。
結局改札に向かう階段の前をやり過ごした私は、、、駅前交番脇にある 「喫煙コーナー」 に向かい、一服することにした。
ところがタバコをくわえると、、、「アレッ」
ポケットに入っていた筈のライターが無い、、。
どうやら店に置いてきたようだ。
幸い、近くに火を着けたばかりのタバコをくわえた 「勤め人風」 の若者がいた。
年の頃、22、3歳といったところか?
私の息子でもおかしくない年齢。
「申し訳ないけど、火を貸していただけますか?」
火をつけ終わって一服し始めたところ、腰を折られるのは煩わしい。
だから私は充分に丁寧な調子で、そう言ったつもりだった。
「、、、」
彼はチラッと私を一瞥すると、いかにも億劫そうな動作でポケットからライターを取り出し、、、他所を向いたまま、黙って私に差し出した。
「どうもありがとう」
内心 「何だよー」 とムッとしたが、、、仕方ない。
面倒を頼んだのは、こっちの方なのだ。
再び礼を言ってライターを返した私は、若者から離れた場所でタバコを吸い始めたが、、、どうにも気が紛れない。
「元々のイライラ」 にライターを借りた際の 「ムッ」 が加わって、余計に気分が沈んできたようだった。
頭の中で 「あんな態度はないよな」 とか 「近頃の若者は」 などと毒づきながら、大袈裟にも 「この国の将来は暗いな」 などと暗澹たる気持ちになった頃、、、タバコが燃え尽きた。
チェーンスモーカーよろしく、すぐに2本目のタバコを咥えたが、、、ライターは無い。
念の為にカバンの中をゴソゴソしていた時、、、誰かがチョコン、と肩のあたりを突っついた。
振り向くと、さっきの若者が立っていた。
ライターを持った手を、私の方に差し出している。
「良かったらこれ、使ってください。 俺、2本あるから」
「えっ?! あ、、、こりゃあどうも。 ありがとう!」
爽やかな笑顔を残して、、、彼は去って行った。
頭を引っ叩かれたような気がした。
さっき、そっぽを向いて見えたのは? 億劫そうに振舞って見えたのは?
みんな、、、私の 「気のせい」 だったのだ。
「最近の若者は」 どころか、、、素晴らしい青年ではないか!
「細かいことを、いちいち気にし過ぎなんだ!」
下りの電車に揺られながら、私は自分の 「弱点」 を実感していた。
だが何故か、、、気分は、すっかり晴れていた。