今朝ベッドから起きあがると、居間で娘たちが騒いでいた。
毎週楽しみにしているテレビ番組(プリキュア)がやっていない、と言う。
どうでもいいが、カミさんにみてもらったところでは、、、どうやらゴルフの 「全米オープン」 の中継のせいで予定が変ったようだ。
「もー、何でゴルフー!?」
腹立たしげに、リモコンをカチャカチャやる次女。
しかしちょっと映った綺麗なグリーンの映像に誘われた私は、「あっ、ちょっと見せて!」
「有り得ない精度のショット」 を繰り出すトッププレイヤーの技に釘付けになりながら、、、唯一興味を持った長女と一緒に、出勤時間ギリギリまでゴルフ観戦となったのだ。
二十代の半ば、、、私には毎日ゴルフ漬けだった頃があった。
「ゴルフ漬け」などというとどこかのお坊ちゃまのようだが、、、勿論そうではない。
ご存知の方も多いだろうが、アメリカでのゴルフは 「大変手頃な遊び」 なのだ。
あの頃、休日に半日楽しんで、12ドル程度。
平日、仕事や学校の後に行く夕方の 「トゥワイライト」なら、5ドル程度だった。
まあ1ドルが200円以上していた頃の話しにしても、、、「ボーリング」 より安い感じか。
休日には仲間と一緒に行くことも多かったが、基本的にはバッグを担いで、1人でフラッと行く。
そうすると、他にも私と同じように1人で来ているのがいるし、、、場合によっては三人で来ているグループに混ぜてもらうことも出来る。
要は 「4人一組」 になれば良い。
雀荘の宣伝で 「1人でも遊べます」 というのがあるが、、まさにあのシステムなのだ。
私が柄にも合わないゴルフなどに夢中になったのは、、、この 「1人でも行ける」 こと 「知らない連中と回るのが面白かった」 ことが大いにあったと思う。
偶然一緒に回ることになる相手には、当然色々な人がいる。
ヨボヨボのお爺ちゃん、どっかの会社の重役風の紳士から、、、、中学生くらいの子供まで。
それこそ 「パープレイ」 で回ってしまうようなプロ級の人から、、、「モグラ叩き」 をやっているような初心者まで。
しかし、それもまた面白いのだ。
それがどんな人でも、先ずは 「よろしく」 と握手、自己紹介から。
1番ホールのTショットを打ち終えると、一緒にフェアウエイを歩き、世間話し。
コースによっては、カートに乗って移動することもあったが、、、余計なお金が掛かるから大抵は歩いていた。
1番ホールのパットを終え、2番ホールのT-ショットを打つ頃には、「Good shot, MASA !」 とか 「Thanks, JACK !」 などという友達感覚に。
このあたりは、エレベーターの中で乗り合わせた他人とでも話しが盛り上がるアメリカ人の気質に加え、、、スポーツの持った不思議な魅力があるのかもしれない。
大概の場合、18番ホールのパッティングを終える頃には、すっかり打ち解け、昔から知っているような4人の仲間の出来上がり。
お爺ちゃんも、重役も、、、中学生の少年も 「Nice game, Masa!」 とか 「Pleasure playing with you, Jack !」 などと握手を交わし、、、上手くても下手くそでもお互いの健闘?を称えあい、、、、お別れ。
「19番ホールで一杯やろうぜ!」 などということは意外と少なく、、、大体は 「またな!」 という感じで皆帰ってゆく。
そのさっぱりした感じも、また心地良かったのだ。
帰国して数年後。
時計屋になってから、昔の仲間やオヤジと何度か行ってみた。
たしかにゴルフは面白い。
それはどこでも変らなかったのだ。
しかし、、、今ひとつスタイルに馴染めなかった。
ティーショットを森の中に打ち込むと、、、猛烈な勢いで走ってゆく 「キャディさん」 がいた。
「もういいですよ」 と言っても一生懸命かがみこんで探してくれている。
こうなると、打ち込んだ私の方が恐縮してしまう。
「クラブの選定」 に、厳しく指示を出すキャディさんもいた。
残り150ヤード、、、ちょっと下り坂。
6番アイアンで打ちたいところだけど、、、風は逆風。
「やっぱり5番アイアンで軽めに」 と5番を取り出すと、、、、「お客さんだと6番ですよ。 5番じゃグリーンオーバーします」
「うん。でも軽めに打ちますから」 と言うと、、、怪訝な顔をしている。
軽めに打ったつもりの私の一打は、彼女の言う通りグリーンの奥にオーバーし、「ほらねー」 となるのかな、と思って彼女を見ると、、、ムッとしたように黙っている。
ド素人の私の独断が、彼女のプロとしてのプライドを傷つけた、ということになるのだろうが、、、私にとっては 「自分で考える過程」 自体がゴルフの楽しみだから、そこを取り上げられては困るのだ。
結局その日、最後まで彼女の顔が晴れることはなく、、、皆にも余計な気を遣わせてしまった。
それ以来、ゴルフは止めてしまっていて、、、、最後にやったのは10年くらい前。
買い付け先のフロリダで、2年前に亡くなった親友のボブさんと、その兄弟の4人で。
時計の買い付けも無事終わり、リラックスした雰囲気の中での久し振りのゴルフで、、、素晴らしく綺麗なコースだった。
1番ティー、1番手はボブさん。
次の組もその次の組の連中も、皆が見守る静寂の中、、、、目にも留まらぬ勢いでスウィングしたボブさんは、、、、思いっきり空振り!
ティーの上には、、、置いたままのボールが微動だにせず座っている。
あちこちから、「ククク、、」 という笑いをかみ殺す声。
彼の兄がすかさず一言。
「なあ、ボブ。 どうやったらあんなに鋭い”素振り”が出来んだか、後でゆっくり教えてくれよ!」
トマトのように真っ赤になったボブさんは、目にも止まらぬ早さで打ち直し、、これは茂みの中へ。
私も危うく大笑いしてしまうところだったが、、、、彼のおかげで、皆がリラックス出来た。
池に打ち込んだボールを取りに行った私に 「マサ、ワニがいるからダメだ!」 とボブさんの真剣な声。
本気にしなかった私が、鉢合わせした小さなワニに腰を抜かすと、、、皆大笑い。
皆プレイ自体は極めて真剣にやっているのだが、合間には冗談が絶えない。
最終18番ホールを終えた時には、笑い過ぎてヘトヘトになる。
あんなゴルフなら、、、、いつでもまたやりたいと思っているのだ。
毎週楽しみにしているテレビ番組(プリキュア)がやっていない、と言う。
どうでもいいが、カミさんにみてもらったところでは、、、どうやらゴルフの 「全米オープン」 の中継のせいで予定が変ったようだ。
「もー、何でゴルフー!?」
腹立たしげに、リモコンをカチャカチャやる次女。
しかしちょっと映った綺麗なグリーンの映像に誘われた私は、「あっ、ちょっと見せて!」
「有り得ない精度のショット」 を繰り出すトッププレイヤーの技に釘付けになりながら、、、唯一興味を持った長女と一緒に、出勤時間ギリギリまでゴルフ観戦となったのだ。
二十代の半ば、、、私には毎日ゴルフ漬けだった頃があった。
「ゴルフ漬け」などというとどこかのお坊ちゃまのようだが、、、勿論そうではない。
ご存知の方も多いだろうが、アメリカでのゴルフは 「大変手頃な遊び」 なのだ。
あの頃、休日に半日楽しんで、12ドル程度。
平日、仕事や学校の後に行く夕方の 「トゥワイライト」なら、5ドル程度だった。
まあ1ドルが200円以上していた頃の話しにしても、、、「ボーリング」 より安い感じか。
休日には仲間と一緒に行くことも多かったが、基本的にはバッグを担いで、1人でフラッと行く。
そうすると、他にも私と同じように1人で来ているのがいるし、、、場合によっては三人で来ているグループに混ぜてもらうことも出来る。
要は 「4人一組」 になれば良い。
雀荘の宣伝で 「1人でも遊べます」 というのがあるが、、まさにあのシステムなのだ。
私が柄にも合わないゴルフなどに夢中になったのは、、、この 「1人でも行ける」 こと 「知らない連中と回るのが面白かった」 ことが大いにあったと思う。
偶然一緒に回ることになる相手には、当然色々な人がいる。
ヨボヨボのお爺ちゃん、どっかの会社の重役風の紳士から、、、、中学生くらいの子供まで。
それこそ 「パープレイ」 で回ってしまうようなプロ級の人から、、、「モグラ叩き」 をやっているような初心者まで。
しかし、それもまた面白いのだ。
それがどんな人でも、先ずは 「よろしく」 と握手、自己紹介から。
1番ホールのTショットを打ち終えると、一緒にフェアウエイを歩き、世間話し。
コースによっては、カートに乗って移動することもあったが、、、余計なお金が掛かるから大抵は歩いていた。
1番ホールのパットを終え、2番ホールのT-ショットを打つ頃には、「Good shot, MASA !」 とか 「Thanks, JACK !」 などという友達感覚に。
このあたりは、エレベーターの中で乗り合わせた他人とでも話しが盛り上がるアメリカ人の気質に加え、、、スポーツの持った不思議な魅力があるのかもしれない。
大概の場合、18番ホールのパッティングを終える頃には、すっかり打ち解け、昔から知っているような4人の仲間の出来上がり。
お爺ちゃんも、重役も、、、中学生の少年も 「Nice game, Masa!」 とか 「Pleasure playing with you, Jack !」 などと握手を交わし、、、上手くても下手くそでもお互いの健闘?を称えあい、、、、お別れ。
「19番ホールで一杯やろうぜ!」 などということは意外と少なく、、、大体は 「またな!」 という感じで皆帰ってゆく。
そのさっぱりした感じも、また心地良かったのだ。
帰国して数年後。
時計屋になってから、昔の仲間やオヤジと何度か行ってみた。
たしかにゴルフは面白い。
それはどこでも変らなかったのだ。
しかし、、、今ひとつスタイルに馴染めなかった。
ティーショットを森の中に打ち込むと、、、猛烈な勢いで走ってゆく 「キャディさん」 がいた。
「もういいですよ」 と言っても一生懸命かがみこんで探してくれている。
こうなると、打ち込んだ私の方が恐縮してしまう。
「クラブの選定」 に、厳しく指示を出すキャディさんもいた。
残り150ヤード、、、ちょっと下り坂。
6番アイアンで打ちたいところだけど、、、風は逆風。
「やっぱり5番アイアンで軽めに」 と5番を取り出すと、、、、「お客さんだと6番ですよ。 5番じゃグリーンオーバーします」
「うん。でも軽めに打ちますから」 と言うと、、、怪訝な顔をしている。
軽めに打ったつもりの私の一打は、彼女の言う通りグリーンの奥にオーバーし、「ほらねー」 となるのかな、と思って彼女を見ると、、、ムッとしたように黙っている。
ド素人の私の独断が、彼女のプロとしてのプライドを傷つけた、ということになるのだろうが、、、私にとっては 「自分で考える過程」 自体がゴルフの楽しみだから、そこを取り上げられては困るのだ。
結局その日、最後まで彼女の顔が晴れることはなく、、、皆にも余計な気を遣わせてしまった。
それ以来、ゴルフは止めてしまっていて、、、、最後にやったのは10年くらい前。
買い付け先のフロリダで、2年前に亡くなった親友のボブさんと、その兄弟の4人で。
時計の買い付けも無事終わり、リラックスした雰囲気の中での久し振りのゴルフで、、、素晴らしく綺麗なコースだった。
1番ティー、1番手はボブさん。
次の組もその次の組の連中も、皆が見守る静寂の中、、、、目にも留まらぬ勢いでスウィングしたボブさんは、、、、思いっきり空振り!
ティーの上には、、、置いたままのボールが微動だにせず座っている。
あちこちから、「ククク、、」 という笑いをかみ殺す声。
彼の兄がすかさず一言。
「なあ、ボブ。 どうやったらあんなに鋭い”素振り”が出来んだか、後でゆっくり教えてくれよ!」
トマトのように真っ赤になったボブさんは、目にも止まらぬ早さで打ち直し、、これは茂みの中へ。
私も危うく大笑いしてしまうところだったが、、、、彼のおかげで、皆がリラックス出来た。
池に打ち込んだボールを取りに行った私に 「マサ、ワニがいるからダメだ!」 とボブさんの真剣な声。
本気にしなかった私が、鉢合わせした小さなワニに腰を抜かすと、、、皆大笑い。
皆プレイ自体は極めて真剣にやっているのだが、合間には冗談が絶えない。
最終18番ホールを終えた時には、笑い過ぎてヘトヘトになる。
あんなゴルフなら、、、、いつでもまたやりたいと思っているのだ。