土砂降りの中、ガタガタ震えながら信号待ちをしていた私たちは、「プア−ン」 というバスのクラクションを聞いた。
反射的に振り向くと、少し後方に止まっているバスのようで、、、よく見ると、ガラス越しに運転手のオジサンが手招きをしている。
どうしていいか分からずに固まっていた私と 「I」
すると、なんとオジサンはバスから飛び出してきたのだ。
「早く乗りな!」
彼はそう言って、大急ぎで私たちの自転車をバスに積み込み、、、促された私たちもずぶ濡れのまま座席に。
車内はガランとしていたが何人かの乗客はいて、、、、私と 「I」 はかわるがわる 「寒いだろ?」 とか 「どうしたの?」 とか聞かれた。
その後、停留所ごとにバスは一人また一人と乗客を降ろしてゆき、、、やがて乗客(私たちはお金を持っていなかったが、、)は私たちだけになった。
そこからの記憶は何故か一部途切れているのだが、、、どうやらそれは終バスで、運転手のオジサンは営業を終えるまでの間、そういう形で私達を保護してくれたようだ。
気がつけば、私と 「I」 は、素っ裸の身体に毛布を被り、真っ赤に燃える暖炉の前に座っていた。
「青梅警察」 の部屋は快適だった。
暖炉はバチバチと音をたてて燃え、毛布も肌触りがいい。
ずぶ濡れでガタガタ震えていたさっきまでとは、天と地の違い。
それに、怖いと思っていたおまわりさん達も皆優しかったのだ。
おまわりさんが作ってくれた雑炊をパクついていると、、、「I」 の両親が部屋に入って来た。
私のオフクロを乗せて、自家用車で飛んできたようだった。
私は怒られるのを覚悟して、心の中で身構えた。
「I」 は 「たっちゃん池」 の帰りからずっとそのことを怖れていたし、そもそもこうなったのは私のせいだから、、、当然、私も彼の両親にこっぴどく怒られると思っていたのだ。
ところが実際には、全然違った。
彼の両親も私のオフクロも、、、、何故かひどく嬉しそうにしていて、ちっとも怒らないのだ。
みんなペコペコとおまわりさんに頭を下げお礼を言っているが、、、おまわりさんの方だってニコニコしているではないか。
一方、怒られなくて済んだ筈の 「I」 は、何故か毛布に包まったまま泣いている。
訳が分らなかった。
「なんでだろ?」
拍子抜けした私は答えをみつけ出せないまま、、、、ただ雑炊の旨さを噛みしめていた。
(完)
反射的に振り向くと、少し後方に止まっているバスのようで、、、よく見ると、ガラス越しに運転手のオジサンが手招きをしている。
どうしていいか分からずに固まっていた私と 「I」
すると、なんとオジサンはバスから飛び出してきたのだ。
「早く乗りな!」
彼はそう言って、大急ぎで私たちの自転車をバスに積み込み、、、促された私たちもずぶ濡れのまま座席に。
車内はガランとしていたが何人かの乗客はいて、、、、私と 「I」 はかわるがわる 「寒いだろ?」 とか 「どうしたの?」 とか聞かれた。
その後、停留所ごとにバスは一人また一人と乗客を降ろしてゆき、、、やがて乗客(私たちはお金を持っていなかったが、、)は私たちだけになった。
そこからの記憶は何故か一部途切れているのだが、、、どうやらそれは終バスで、運転手のオジサンは営業を終えるまでの間、そういう形で私達を保護してくれたようだ。
気がつけば、私と 「I」 は、素っ裸の身体に毛布を被り、真っ赤に燃える暖炉の前に座っていた。
「青梅警察」 の部屋は快適だった。
暖炉はバチバチと音をたてて燃え、毛布も肌触りがいい。
ずぶ濡れでガタガタ震えていたさっきまでとは、天と地の違い。
それに、怖いと思っていたおまわりさん達も皆優しかったのだ。
おまわりさんが作ってくれた雑炊をパクついていると、、、「I」 の両親が部屋に入って来た。
私のオフクロを乗せて、自家用車で飛んできたようだった。
私は怒られるのを覚悟して、心の中で身構えた。
「I」 は 「たっちゃん池」 の帰りからずっとそのことを怖れていたし、そもそもこうなったのは私のせいだから、、、当然、私も彼の両親にこっぴどく怒られると思っていたのだ。
ところが実際には、全然違った。
彼の両親も私のオフクロも、、、、何故かひどく嬉しそうにしていて、ちっとも怒らないのだ。
みんなペコペコとおまわりさんに頭を下げお礼を言っているが、、、おまわりさんの方だってニコニコしているではないか。
一方、怒られなくて済んだ筈の 「I」 は、何故か毛布に包まったまま泣いている。
訳が分らなかった。
「なんでだろ?」
拍子抜けした私は答えをみつけ出せないまま、、、、ただ雑炊の旨さを噛みしめていた。
(完)