それから、一体何時間自転車を漕いだろうか?
細かったクネクネ道からいつしか大きな車道に入り込んだ私達は、すぐ脇を車がビュンビュンと追い越す側道を走っていた。
大通りに入った頃から降り始めた雨は段々と勢いを増し、、、そのうちザーザー降りに。
完全な濡れネズミになった私達は全く口もきかず、、ひたすら前に向かってペダルを漕ぎ続けていたのだ。
今もはっきり憶えているのは、読み方の分からない「青梅」という標識、、、側溝にはさまっていた猫の死骸、、、車が追い越す度に頭から被る水飛沫、、、、そして振り返った時に見た 「I」 の顔。
身体が大きくて力が強く、少年野球のチームでも不動の四番で、、、いつもは威張りん坊だった 「I」。
その 「I」 の泣き出しそうな顔を見て、、、初めて私は事態を深刻に受け止めたのではなかったか、。
「どうやら自分のせいで、えらいことになった。 こりゃ、うちには帰れないな」 と。
きっと 「I」 の両親は、カンカンになって怒っているのだろう。
オジサンの車に乗せられた 「Y」 は、ちゃんと家に帰れたのか?
オフクロはどうしてるかな?
次から次へと、心配のタネが浮かんで来る。
私はもはや、どこかに向かって走っているのではなく、、、止まって現実を直視する事が出来なくなっていたのだと思う。
そのうち、私達に水を跳ね上げる車の数が少なくなった。
「I」 も私も時計など持っていなかったが、、、明らかに夜は更けていた。
寒い、、。
季節は確か秋頃だったが、、長いことずぶ濡れだったせいで、寒くて堪らなかった。
赤信号で並んで止まると、、、、 「I」 もガタガタと震えていていた。
(続く)
細かったクネクネ道からいつしか大きな車道に入り込んだ私達は、すぐ脇を車がビュンビュンと追い越す側道を走っていた。
大通りに入った頃から降り始めた雨は段々と勢いを増し、、、そのうちザーザー降りに。
完全な濡れネズミになった私達は全く口もきかず、、ひたすら前に向かってペダルを漕ぎ続けていたのだ。
今もはっきり憶えているのは、読み方の分からない「青梅」という標識、、、側溝にはさまっていた猫の死骸、、、車が追い越す度に頭から被る水飛沫、、、、そして振り返った時に見た 「I」 の顔。
身体が大きくて力が強く、少年野球のチームでも不動の四番で、、、いつもは威張りん坊だった 「I」。
その 「I」 の泣き出しそうな顔を見て、、、初めて私は事態を深刻に受け止めたのではなかったか、。
「どうやら自分のせいで、えらいことになった。 こりゃ、うちには帰れないな」 と。
きっと 「I」 の両親は、カンカンになって怒っているのだろう。
オジサンの車に乗せられた 「Y」 は、ちゃんと家に帰れたのか?
オフクロはどうしてるかな?
次から次へと、心配のタネが浮かんで来る。
私はもはや、どこかに向かって走っているのではなく、、、止まって現実を直視する事が出来なくなっていたのだと思う。
そのうち、私達に水を跳ね上げる車の数が少なくなった。
「I」 も私も時計など持っていなかったが、、、明らかに夜は更けていた。
寒い、、。
季節は確か秋頃だったが、、長いことずぶ濡れだったせいで、寒くて堪らなかった。
赤信号で並んで止まると、、、、 「I」 もガタガタと震えていていた。
(続く)