Masa’s Pastime

2012年05月25日

「迷子」 その1

一般に、年を取ると寝付きが悪くなるという。



そう言えば、昔うちの婆さんもよく夜中に起き出して縫い物なんかしていた。



普段は寝床に入れば気絶するように寝ている私も、、、たまに何かの拍子で眠れないことがある。





そんな時には、何故か遠い昔の事を思い出す。



大体は苦い経験。



そして、そのうちそんな記憶が後悔や羞恥を伴って蘇り、、、、結局余計に眠れなくなるのだ。




何日か前もそうだった。




疲れ切っていて結構早くに床に着いたら、、、、夜中の2時過ぎに、パチッと目が覚めたのだ。




退屈しのぎにタバコを吸っても本を読んでもどうにもならず、、、、目をつぶってじっとしているうち、頭に浮かんだのは幼少の記憶だった。





それは40数年前の事。




当時小学校低学年だった私は、狭山貯水池近くの 「たっちゃん池」 に向かって自転車を漕いでいた。




「たっちゃん池」 は、貯水池近くの森の中にある小さな池。



本当は 「やけべ池」 という名前らしいが、ある時、たっちゃんという男の子がその池で溺れて亡くなってから 「たっちゃん池」 と呼ばれるように、、。



なんでも池の底は 「すり鉢」 のようになっていて、、、ちょっと入ると 「引き込まれる」



大人たちからそんな風に聞いていて、ちょっと怖いイメージの池だった。






その日の相棒は、幼なじみの 「I」 と 「Y」




近所の魚屋の息子だった 「I」 は私と同い年だが、際立って身体が大きく、力も強かった。




「Y」 はすぐ何軒か隣に住んでいた同級生の弟。




2つ3つ年下だったから、当時はまだ小学校にあがっていなかった筈だ。





池に向かった目的はなんだったのか、、、それから、何故その日に限っていつも私と一緒だった 「Yの兄」 がいなかったのかは思い出せない。




普段の私なら間違いなく 「釣りザオ持参」 だが、、、釣りをしない 「I」 と 「Y」 が一緒だったその日は、珍しく手ぶらだった。




もしかすると、まだたっちゃん池に行ったことがない 「Y」 を連れて行ってやろうと、年上の私達に兄貴ぶった気持ちがあったのかもしれない。





私達2人は自転車だったが、、、まだ自転車に乗れない 「Y」 は、ランニングシャツに半ズボンで駆けてきた。




たっちゃん池までは自転車なら30分位の距離だが、、、当然 駆けっこの 「Y」 は遅れがちになる。



その度、2人は 「Y」 が追いつくのを止まって待つ。



そんな風にしていたから、、、、思ったより時間が掛かった。




結局 「たっちゃん池」 に着いた時には既に夕方になっていて、、、私達3人は、夕暮れの中を慌てて帰ろうとしたのだった。




(続く)


posted by Masa’s Pastime at 13:53 | Comment(0) | 新着情報
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