一般に、年を取ると寝付きが悪くなるという。
そう言えば、昔うちの婆さんもよく夜中に起き出して縫い物なんかしていた。
普段は寝床に入れば気絶するように寝ている私も、、、たまに何かの拍子で眠れないことがある。
そんな時には、何故か遠い昔の事を思い出す。
大体は苦い経験。
そして、そのうちそんな記憶が後悔や羞恥を伴って蘇り、、、、結局余計に眠れなくなるのだ。
何日か前もそうだった。
疲れ切っていて結構早くに床に着いたら、、、、夜中の2時過ぎに、パチッと目が覚めたのだ。
退屈しのぎにタバコを吸っても本を読んでもどうにもならず、、、、目をつぶってじっとしているうち、頭に浮かんだのは幼少の記憶だった。
それは40数年前の事。
当時小学校低学年だった私は、狭山貯水池近くの 「たっちゃん池」 に向かって自転車を漕いでいた。
「たっちゃん池」 は、貯水池近くの森の中にある小さな池。
本当は 「やけべ池」 という名前らしいが、ある時、たっちゃんという男の子がその池で溺れて亡くなってから 「たっちゃん池」 と呼ばれるように、、。
なんでも池の底は 「すり鉢」 のようになっていて、、、ちょっと入ると 「引き込まれる」
大人たちからそんな風に聞いていて、ちょっと怖いイメージの池だった。
その日の相棒は、幼なじみの 「I」 と 「Y」
近所の魚屋の息子だった 「I」 は私と同い年だが、際立って身体が大きく、力も強かった。
「Y」 はすぐ何軒か隣に住んでいた同級生の弟。
2つ3つ年下だったから、当時はまだ小学校にあがっていなかった筈だ。
池に向かった目的はなんだったのか、、、それから、何故その日に限っていつも私と一緒だった 「Yの兄」 がいなかったのかは思い出せない。
普段の私なら間違いなく 「釣りザオ持参」 だが、、、釣りをしない 「I」 と 「Y」 が一緒だったその日は、珍しく手ぶらだった。
もしかすると、まだたっちゃん池に行ったことがない 「Y」 を連れて行ってやろうと、年上の私達に兄貴ぶった気持ちがあったのかもしれない。
私達2人は自転車だったが、、、まだ自転車に乗れない 「Y」 は、ランニングシャツに半ズボンで駆けてきた。
たっちゃん池までは自転車なら30分位の距離だが、、、当然 駆けっこの 「Y」 は遅れがちになる。
その度、2人は 「Y」 が追いつくのを止まって待つ。
そんな風にしていたから、、、、思ったより時間が掛かった。
結局 「たっちゃん池」 に着いた時には既に夕方になっていて、、、私達3人は、夕暮れの中を慌てて帰ろうとしたのだった。
(続く)
そう言えば、昔うちの婆さんもよく夜中に起き出して縫い物なんかしていた。
普段は寝床に入れば気絶するように寝ている私も、、、たまに何かの拍子で眠れないことがある。
そんな時には、何故か遠い昔の事を思い出す。
大体は苦い経験。
そして、そのうちそんな記憶が後悔や羞恥を伴って蘇り、、、、結局余計に眠れなくなるのだ。
何日か前もそうだった。
疲れ切っていて結構早くに床に着いたら、、、、夜中の2時過ぎに、パチッと目が覚めたのだ。
退屈しのぎにタバコを吸っても本を読んでもどうにもならず、、、、目をつぶってじっとしているうち、頭に浮かんだのは幼少の記憶だった。
それは40数年前の事。
当時小学校低学年だった私は、狭山貯水池近くの 「たっちゃん池」 に向かって自転車を漕いでいた。
「たっちゃん池」 は、貯水池近くの森の中にある小さな池。
本当は 「やけべ池」 という名前らしいが、ある時、たっちゃんという男の子がその池で溺れて亡くなってから 「たっちゃん池」 と呼ばれるように、、。
なんでも池の底は 「すり鉢」 のようになっていて、、、ちょっと入ると 「引き込まれる」
大人たちからそんな風に聞いていて、ちょっと怖いイメージの池だった。
その日の相棒は、幼なじみの 「I」 と 「Y」
近所の魚屋の息子だった 「I」 は私と同い年だが、際立って身体が大きく、力も強かった。
「Y」 はすぐ何軒か隣に住んでいた同級生の弟。
2つ3つ年下だったから、当時はまだ小学校にあがっていなかった筈だ。
池に向かった目的はなんだったのか、、、それから、何故その日に限っていつも私と一緒だった 「Yの兄」 がいなかったのかは思い出せない。
普段の私なら間違いなく 「釣りザオ持参」 だが、、、釣りをしない 「I」 と 「Y」 が一緒だったその日は、珍しく手ぶらだった。
もしかすると、まだたっちゃん池に行ったことがない 「Y」 を連れて行ってやろうと、年上の私達に兄貴ぶった気持ちがあったのかもしれない。
私達2人は自転車だったが、、、まだ自転車に乗れない 「Y」 は、ランニングシャツに半ズボンで駆けてきた。
たっちゃん池までは自転車なら30分位の距離だが、、、当然 駆けっこの 「Y」 は遅れがちになる。
その度、2人は 「Y」 が追いつくのを止まって待つ。
そんな風にしていたから、、、、思ったより時間が掛かった。
結局 「たっちゃん池」 に着いた時には既に夕方になっていて、、、私達3人は、夕暮れの中を慌てて帰ろうとしたのだった。
(続く)