つい昨日、カスタム腕時計のギロシュダイアルに新たなレパートリーが加わった。
周囲に12個のなだらかな 「山・谷」 を持つこのパターンには、アンティークの時計やジュエリーで馴染みのある方も多いと思う。
正面から見ると、ダイアルの中心から12本の光の帯が放射状に輝き、、、落ち着いた中にも主張のある雰囲気を持っている。
個々のギロシュのパターンには、それぞれ異なった形状のカムが必要だ。
「ロセット」 と呼ばれるこのカムはブロンズや燐青銅で出来ていて、 「桜の花」 のような形のものがあるかと思えば、殆ど真ん丸だがところどころ滑らかな出っ張りがあるようなものもある。
以前にもご紹介した通り、うちのローズエンジンは元々100年以上前にアメリカのロードアイランド州で使用されていたものだが、、、パスタイムに持ってきた時点では、今回のパターンを描く為の 「ロセット」 が付属していなかった。
ロセット自体は相当な種類が揃っていたのだが、、、時計のダイアル用には向かないパターンのものが多い。
これはこのローズエンジンが元々時計のダイアルではなくジュエリーの製作に使われていたことを考えると当然なのだが、、、時計屋としては、今回のパターンはどうしても欲しい。
無ければ作るしかないが、、、ロセットの寸法は直径が15センチ強。
うちの 「小型NCフライス盤」 で製作するには、寸法が大きすぎる、、。
どうしたものかと思案していたある日、、、救いの神が現れた。
某精密機械メーカーに勤務するエングレーバーの辻本の父が来店し、 「うちで作ってあげるよ」
灯台下暗し、とはよく言ったもので、、、救いの神は、文字盤製作者本人の身内にいた訳だ。
ということで数ヶ月後、ダイアル製作に必要な追加のロセットは見事な出来栄えで新規製作され、、、晴れて今回のダイアル製作に至ったのだ。
さて、今回 「新パターン」 の第一号に選らばれた時計のムーブメントは 「ハミルトン922」
これは旧モデルの 「920」 同様 「23石ジュエルドモーターバレル」 を採用したハミルトンの最高級機種だが、受け板の仕上げ模様などの他に少々異なるのはその寸法。
旧モデルの920が 「14サイズ」 であるのに対して、こちらはダイアル側の直径が1.5ミリほど小さい 「12サイズ」 なのだ。
更に直径だけでなくムーブメントの厚みも1ミリほど薄めで、、、同形状のケースを製作して腕時計化してみると、旧モデルのものよりかなりコンパクトになった。
「12・14サイズのカスタム腕時計」 の発表以来、数ヶ月。
お選びいただけるダイアルの選択肢は更に広がった。
今回製作したこの時計を、という方も、、、それから 「こんなダイアルでこんなムーブメント、、、こんな形状のケースで材質はこれ!」 という 「自分だけの一本」 をお考えの方も。
選択可能な在庫ムーブメントの豊富なうちに、是非是非ご相談下さいませ!
今回製作した「HAMILTON922 12サイズ カスタム腕時計」の詳細は当店オフィシャルサイトでご覧下さいませ。
http://www.antique-pastime.com/index.html